@ledsun blog

無味の味は佳境に入らざればすなわち知れず

ゴー・ノーゴー課題の原著論文を発見

最近の小学生における高次神経活動の特徴 : go/no-go 実験における誤反応と型判定を基に

計測方法

Pavlov, I. P. 理論(ハ・エス・コシトヤンツ,1955)に基づいて 
Luria, A. R.(1969)により考案された方法

形成実験

「いまから,みなさんの目の前のランプがこの色(赤色)に光ります。この色に光ったら,
すばやくゴム球を握ってください。消えたらパッと離してください」との指示を与え,
10 回の練習を行った後,直ちに 3 ~ 6 秒間隔で,1 回 0.5 ~ 1.5 秒間の光刺激を5 回呈示した

分化実験

次に,「今度はこの色(黄色)に光る時もあります。でも,その時は握ってはいけません。先ほどと同じ,
この色(赤色)の時だけすばやく握ってください」と の指示を与えて,
4 回(go task:2 回,no-go task:2 回)の練習を行った後,直ちに go task と no-go task を
ランダムに呈示した(分化実験)。
この時の光刺激の 呈示間隔と時間は先の形成実験と同様であるが,刺激回数は go task,
no-go task とも 11 回ずつとした

逆転分化実験

最後に,「最後は先ほどと反対です。この色(黄色)の時にすばやく握ってください。この色(赤色)の時
は握らないでください」との指示を与え,4回(go task:2 回,nogo task:2 回)の練習を行った後,
直ちにgo taskと nogo task をランダムに呈示した
この時の光刺激の呈示間隔,時間,回数は,すべて分化実験の場合と同様とした

各型の分類基準

分類型 分化実験 逆転分化実験
不活発型 no-go taskに対する誤反応3個以上かつgo taskに対する誤反応1個以上
興奮型 no-go taskに対する誤反応3個以上かつgo taskに対する誤反応0個
抑制型 no-go taskに対する誤反応3個未満かつgo taskに対する誤反応1個以上
おっとり型 no-go taskに対する誤反応3個未満かつgo taskに対する誤反応0個 no-go taskに対する誤反応3個以上もしくはgo taskに対する誤反応1個以上
活発型 no-go taskに対する誤反応3個未満かつgo taskに対する誤反応0個 no-go taskに対する誤反応3個未満かつgo taskに対する誤反応0個

考察

元来,ヒトは 5 つの型の中でも最も幼稚な型といえる「不活発型」からスタートし,加齢とともに子ども
らしい「興奮型」の時期を経て,次第に成人らしい「活発型」に移行していく(正木・森山,1971;
西條ほか,1981)ものと考えられてきた

これはあまり違和感を感じません。

1998 年調査の結果では,小学校に入学する頃になっても「不活発型」が 5 ~ 6 割にも達しており,
かつその後の推移をみても,男子ではなかなかこのタイプの子どもたちが減っていかない様子から
「学校崩壊」と呼ばれているような事象が起きてしまうのもある程度うなずけるのではないか,
と推察されている(野井,2006)

これはちょっとだけ違和感があります。

感想

go task 11回試行中1ミスで不活発型が興奮型に分類されるのがシビアに思えます。 ですが、結果を見ると、抑制型の出現率は10%前後です。妥当なのかもしれません。

実施環境(明るさ、環境音)によって結果が左右されそうな実験に思えます。 複数の対象群を比較しても意味はないのかもしれません*1

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*1:ソフトウェア工学でも「異なるソフトウェアを作る異なるスキルのエンジニアで構成されたチームを、同じ計測方法で計測すれば比較できる」と考えてしまうミスが、しばしば起こります