残業の話題がとっても盛り上がっているので参戦。
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ここで考えるのはSIerにてエンジニアの残業を無くす方法です。残業を無くすには労働生産性を上げればよい。労働時間が月184時間以内で売上が今と変わらなければ、給料を上げない限り残業は無くなる。さてSIerにて労働生産性を上げるには?
サービス業としてのSIerの場合
二次請け以下の受託開発と人材派遣型のSIerはサービス業です。売上は労働時間単価の積み上げ、実にシンプルです。
売上 = 労働時間 x 労働時間単価
単価を上げる
労働時間を減らして売上を減らさないためには、労働時間単価を上げます。方法は二つ
- エンジニアの能力を上げて単価を上げる
- エンジニアの能力にマッチする仕事を探してくる
単価が上がるようにエンジニアの能力を上げる方法はなんでしょうか?既知の方法は、単価の高い上流工程だけをやり下流工程に派遣会社を使う方法です。ジョブチェンジなのと、大手SIerが既にやっているので競争が激しく、あまりおすすめできません。
エンジニアの能力にマッチする仕事を探すには?「仕事が選べる」ようになればいいです。仕事が少ないのにえり好みしてると労働時間単価が上がる以上に労働時間が減ります。
会社を大きくする
会社の規模を大きくする方法もあります。エンジニアが増えると間接コストが相対的に小さくなるので利益は伸びる。と、思いがちですが実は間接コストは30%前後で大して変わりません。20人くらいの会社なら間接人件費20%くらいですが、家賃・光熱費が大きいです。1000〜2000人だと自社事務所や大口契約で家賃・光熱費は下がりますが間接人件費は増えます。人が増えれば採用、教育、不正申請対策など管理コストは増えます。また人を増やすためには、採用条件として給料を上げないといけません。つまりこれは労働時間単価が上がった後の話です。
結論1
仕事が選べれば残業が減ります。「ちょっとぐらい待つからお宅のエンジニア貸してよ」って言われるようになれば解決です。エンジニアは同時に一社としかおつきあいしません。多くのお客様にアピールできません。エンジニアとして出来ることは少ないです。サービス業ではエンジニアが商品。多くのお客様に商品の良さを伝えるのはエンジニアリングではなく、セールスです。
受託開発としてのSIerの場合
受託がサービス業と大きく違うのは、システムの開発コストを下げても売値を下げる必要がないところです。方向としては売値を上げるか開発コストを下げるかです。
- 企画ごと売って売値を高くする
- 競争の少ない分野に特化して売値を下げない
- 請ける分野を絞って開発コストを下げる
企画ごと売って売値を高くする
SIerがまずやらないパターンです。例を挙げると、2億円の売上が立つ企画を立てて、2000万の開発経費をもらう。内部では200万で作る。製造費だけ見ると詐欺だって言う人もいます。お客様が得していればwin-winです。1800万に貢献してるのは企画を立てて必要なリソースを揃えた人でエンジニアではありません。ただ、ソフトしか作れないSIerが単独で自社サービスを始めるよりは、他社の商品と絡めたサービスを始めた方が成功率は高いと思います*1。
競争の少ない分野に特化する
相見積もりを取って比べられると、価格競争をするしかありません。自社にしかできない分野でやれば高い価格を維持できます。医療や軍需、金融などです。既存の分野は高い参入障壁があるので、ブルーオーシャン(未発達の分野)を探すのが吉です。これから伸びるビジネスが使うシステムに特化するのがよいと思います。今まで誰もやったことがない分野か規模の「絶対無理だろー」ってシステムを多少炎上してでも作り上げると、会社のブランドが一気に上がります*2。
請ける分野を絞る
自社フレームワークやパッケージを作って開発コストを下ようって話です。唯一のエンジニアリングなアプローチです。
分野を絞らない限りフレームワークはあまり武器になりません。SeasarもRailsも開発した会社の儲けにはなっていません。フレームワークをもっとビジネスに生かそうとすると、スターロジックさんのアプローチになります。フレームワークはないと思います*3。
パッケージ開発は成功例があります。自社の既存のノウハウを元に12人月くらい投入すれば他社が簡単には真似できない*4ソフトウェアができるかもしれません。頑張って下さい。
結論2
エンジニアリングなアプローチでは改善しません。ド派手な実績をアピールしましょう!プロジェクトのネタと人材が上手いことマッチングするタイミングをガシっと掴むだけです、失敗すれば会社が潰れる勝負。完全に経営の話です。
まとめ
残業を減らすには金を稼ぐしかありません。稼ぐ方法にエンジニアリングなアプローチはない。エンジニアリングやめて自分で直接金を稼げば良いでしょう。
もしエンジニアやめたくないなら、稼いでる会社にジョインしたらいいんじゃないでしょうか?ただし稼いでるなら仕事は多いです。間違いなく忙しいです。あらら。