@ledsun blog

無味の味は佳境に入らざればすなわち知れず

国家公務員法改正案に関するメモ

国家公務員法改正案が廃案になるそうなので、どういう話だったのかメモを集めておきます。

法案

衆法 第196回国会 30 国家公務員法等の一部を改正する法律案

議案というのがパッチで、要項がdescriptionみたいです。

第201回 通常国会|内閣官房ホームページ

こっちのほうが解説PDFと現時点の法案が載っていてわかりやすいです。 法案そのものは、現時点の僕の知識で読み解くのは難しいです。

平均寿命の伸長や少子高齢化の進展を踏まえ、知識、技術、経験等が豊富な高 齢期の職員を最大限に活用するため、定年の65歳引上げについての国会及び内閣 に対する人事院の「意見の申出」(平成30年8月)に鑑み、国家公務員の定年を 引き上げる。

意見

橋下徹氏が“束ね法案”国家公務員法改正案の問題点を指摘 「60歳以上の給与7割保障は疑問です」:芸能・社会:中日スポーツ(CHUNICHI Web)

国家公務員法の改正によって60歳以上の給与7割保障は疑問です。それをやるなら民間にも7割保障を義務化すべきだと思います」と言及。さらに「民間に義務化ができないなら、公務員もそのときの民間水準に合わせるという仕組みが筋なのではないでしょうか?」

https://twitter.com/hashimoto_lo/status/1262546929986138112

連合|国家公務員法等の一部を改正する法律案において措置されてい...(事務局長談話)

連合は、公務員の65歳への定年の引き上げは諸環境の変化等を踏まえた、不可欠な勤務条件であり、必要とされる社会的政策と認識してきた。従って、本改正案については、「検察官の勤務延長規定を削除すれば賛同できる」と表明している野党(共同会派)が主張しているとおり、本来であれば国家公務員法改正法案から切り離した上で、検察官人事における内閣の関与の範囲など丁寧な検討が必要である。その上で、国民の疑念に対し真摯に対応すべきである。

高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ 「定年延長」国家公務員法改正案は、黒川氏人事とは関係ない: J-CAST ニュース【全文表示】

国家公務員定年延長には長い経緯がある。2008年国家公務員制度改革基本法中に65歳まで定年延長は盛り込まれている。その法律は福田康夫政権のときだが、その企画立案の一人として筆者も関わり、当時の民主党の協力で成立した。その後2回(2011年9月、2018年8月)の人事院から政府への意見申出、3回(2013年3月、2017年6月、2018年2月)の閣議決定を経て現在にいたる。

新展開…自民・世耕氏が検察官含む公務員の定年延長自体に異論 新型コロナ受け…検察庁法改正案の行方は?

この景気状況、雇用状況の中で本当に(公務員の)定年延長していいのかどうかも含めて、立ち止まってしっかり議論することが重要だ

いったい検察庁法改正案の何に抗議しているのか|徐東輝(とんふぃ)|note

個人的には、人生100年時代において、民間と同じく国家公務員も定年を延長することに異論はありません。さらに、人件費削減のために役職定年制を設けることにも賛成ですし、もっというと、特殊なケースで役職定年制に特例を設けることにも賛成です。  しかし、どうもまだこの「特殊なケース」の判断軸が見えてこない。

検察庁法・国家公務員法改定案/塩川氏の質問 衆院本会議 (日本共産党塩川鉄也議員)

国家公務員法等改正案の最大の問題は、憲法の基本原理である権力分立を破壊する検察庁法改正案を入れ込んでいることです。

東京高検黒川弘務検事長の定年延長を行った閣議決定の撤回を改めて求めるとともに、国家公務員法等の一部を改正する法律案のうち検察庁法改正案に反対する会長声明|決議・声明|東北弁護士会連合会

この改正案によれば、内閣及び法務大臣の裁量によって検察官の人事に介入をすることが可能となり、検察に対する国民の信頼を失い、さらには、準司法官として職務と責任の特殊性を有する検察官の政治的中立性や独立性が脅かされる危険があまりにも大きく、憲法の基本原理である権力分立に反する。

徳島弁護士会 検察庁法に違反する定年延長の閣議決定の撤回を求め、国家公務員法等の 一部を改正する法律案に反対する会長声明

特例措置が受けられるという法律に改正されてしまうと、時の政府の意向次第で、検察庁法の規定に基づいて上記の東京高検検事長の定年延長のような人事が可能になってしまう。これは、汚職事件など政界が絡む犯罪に対し、強い職務権限を持ち、準司法的役割を担う検察官の政治からの独立性・中立性の確保という検察庁法の趣旨を根底から揺るがすものであり、到底、容認することはできない。

国家公務員の定年を段階的に65歳に引き上げ 役職定年制も導入(国家公務員法等の改正法案を国会に提出) | 社会保険労務士PSRネットワーク

予定どおりに国家公務員の定年が65歳となれば、民間企業においても、定年自体の引き上げが本格的に検討されることになりそうですね。 なお、民間企業については、今のところ、定年の引き上げの予定はありませんが、高年齢者雇用安定法の改正案(現国会で審議中)により、令和3年4月から70歳までの就業機会の確保が努力義務とされる予定です。

検察庁法改正案はクロかシロか | いさ進一 活動の記録 (公明党のいさ進一議員)

公務員の共済年金と厚生年金が一元化され、公務員の年金の支給開始年齢も、会社員と同様に徐々に引き上げられています。最終的には支給開始は「65歳」からとなりますが、その途上にある現在では、支給開始年齢は「64歳」です。今回の法案が成立して施行され、検察官の定年も「65歳」となれば問題ありません。しかし、現在の検察官の定年は「63歳」です。つまり、64歳までの一年間、仕事もなく年金もないという状況が発生することとなります。しかも、一般の国家公務員では認められている「勤務延長制度」も「適用されない」こととなっています。今回、定年を「65歳」に合わせるのであれば、「勤務延長制度」も他の国家公務員同様、適用させることにしたらよいではないか、法務省はそう考えました。

検察庁法の一部改正法案の撤回及び違法な定年延長の閣議決定の撤回を求める会長声明 | 長崎県弁護士会 - NAGASAKI BAR ASSOCIATION

「全ての検察官の定年を一律に65歳まで延長すること」や「63歳の役職定年を設定すること」自体について反対するものではないが、「内閣又は法務大臣の裁量による役職延長や勤務延長」を認める部分については強く反対する。

日キ靖国神社問題特別委員会 「検察庁法改正案」に反対声明 2020年5月12日 | キリスト新聞社ホームページ

現在、国会に提出されている当該改正案は、政府や行政を監視すべき検察庁の機能を骨抜きにし、三権分立と民主主義とを崩壊させる危険な改悪であり、わたしたちはこれに強く抗議するとともに速やかな撤回を要求します。

検察庁法改正案の中身がやっと理解できたよ | ジャーナリスト神保哲生 official blog

内閣に気に入られれば2年から最長で5年もの長きにわたり今のポストにとどまれるのはもちろんのこと、場合によってはもう一つ上のポストも狙える一方で、どんなに優秀な検察官でも内閣に煙たがれれば63歳でお払い箱ということになり、内閣が検察幹部の人事に対する絶大な裁量を手にすることになります。

前川喜平(右傾化を深く憂慮する一市民) on Twitter: "要するに、2022年4月の改正法の施行までは現行国家公務員法により、施行後は改正検察庁法により、黒川氏の定年は自在に延長できるわけだ。2025年2月の68歳誕生日まで黒川氏を検事総長に据え置くこともできる。検察庁法再改正で定年を70歳にすれば2027年まで据え置ける。 #検察庁法改正案に抗議します"

2025年2月の68歳誕生日まで黒川氏を検事総長に据え置くこともできる。検察庁法再改正で定年を70歳にすれば2027年まで据え置ける。

経緯

2018年 「定年を段階的に65歳に引き上げるための国家公務員法等の改正についての意見の申出」人事院

人事院の意見の申出 より https://www.jinji.go.jp/iken/30mousidekossi.pdf

ここから今回の法案が出てきて、廃案になったようです。 意見の申出は次の閣議決定に基づいているそうです。

2017年 「経済財政運営と改革の基本方針2017」閣議決定

経済財政運営と改革の基本方針2017 - 内閣府 より https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2017/2017_basicpolicies_ja.pdf

⑦ 若者が活躍しやすい環境整備、高齢者の就業促進 就職氷河期世代や若者の活躍に向けて、職務経歴、職業能力等に応じた集中的な正社 員化支援等を行う。また、高校中退者等の高卒資格取得に向けた学習相談・支援を行う。 65 歳以降の定年延長、継続雇用延長等を行う企業への支援を充実し、継続雇用年齢等 の引上げを進めていくための環境整備を行う。2020 年度(平成 32 年度)までを集中取 組期間と位置付け、助成措置の強化等を行い、集中取組期間の終了時点で、継続雇用年 齢等の引上げに係る制度の在り方を再検討する。公務員の定年の引上げについて、具体 的な検討を進める。また、多様な技術・経験を有するシニア層が、幅広く社会に貢献で きるよう、ハローワークにおける求人開拓を強化する。

2020年までに高齢者の就業促進をすることを決めていて、公務員の定年延長も含まれていたようです。

2013年 「国家公務員の雇用と年金の接続に関する基本方針」国家公務員制度改革推進本部行政改革実行本部決定

今後の公務員制度改革の在り方に関する意見交換会(第3回)議事次第 よりhttps://www.gyoukaku.go.jp/koumuin/arikata-ikenkoukan/dai3/sankou3.pdf

退職共済年金の支給開始年齢の引上げに伴い、再任用により雇用と年金の接続を図る 方針を決定

2013年から年金支給年齢の引き上げが始まるので、再任用で年金支給までの期間を埋めました。 このときは定年延長は案としてあっても、確定しなかったようです。

2011年「定年を段階的に65歳に引き上げるための国家公務員法等の改正についての意見の申出」人事院

人事院の意見の申出 より https://www.jinji.go.jp/iken/23mousikossi.pdf

2013年から年金支給年齢の引き上げが始まるので、2013年から2025年までの期間で、国家公務員の定年を65歳まで引き上げる案が出たようです。

2009 ~ 2011年 内閣人事局国家公務員法等改正法案」など 廃案

この時期の国家公務員法改正は、人事院内閣人事局に変更することが焦点だったようです。国家公務員の定年との関係は薄そうです。

2006 ~ 2008年 天下り対策

天下り問題が盛り上がって対策として、「国家公務員制度改革基本法成立」成立しました。

国家公務員制度改革基本法 - Wikipedia

公務員の再就職を一元管理する「官民人材交流センター」を内閣府に設け、公務員にも能力・実績主義を導入し、設置後3年以内に各省庁による天下りのあっせんも全面禁止する

https://www.gyoukaku.go.jp/siryou/koumuin/080613kihonhou_gaiyou.pdf

③ 雇用と年金の接続の重要性に留意して、次の措置を講ずる。 a 定年まで勤務できる環境を整備するとともに、再任用制度の活用の拡大を図る。 b 定年を段階的に六十五歳に引上げることについて検討する。 c aの環境の整備及びbの定年の引上げの検討に際し、高年齢である職員の給与の 抑制を可能とする制度その他のこれらに対応した給与制度の在り方並びに役職定年 制度及び職種別定年制度の導入について検討する。

その中に再任用や定年の引き上げも含まれていました。