結論
中間業者を中抜きは不可能。よりよい中間業者による代替えを目指そう
事例:クラウドワークス
にて、受注者側から見たクラウドワークスの問題点が挙げられています。
クラウドワークスは発注者のためのサイト
クラウドワークスとは、そもそもエンジニアの為に作られたサイトじゃなく、むしろクライアント(発注者)がエンジニアを安く買い叩くためのサービスに過ぎなかった
また
発注する側の手数料は一切かからず、仕事を請けた人間のみが手数料を徴収されるというシステムも印象が良くない。「クラウドワークスが発注者の為のサービス」だと言われる所以
中間業者中抜きへの期待
クラウドワークスにおいては、クライアント(発注者)とエンジニアは直結する。現実世界では、クライアント(発注者)とエンジニアの間に、仲介会社やエージェントなど「余計なもの」が入る。それなら、現実世界ではピンハネされている分だけ、エンジニアの取り分が増えても良さそう
よくある期待です。自分も意味がありそうに思います。
先人の失敗
絵や音楽
プロのクリエイターが、Gumroadで直接取引したときは、既存の流通業者を挟むより値段が安くなりました。
1回目は初速がすごかったけど。2番目のは今日(アップロード当日の2月21日)の夕方までに16人。前のは57人。2枚合わせて、トータルで108ドルくらい。 とりあえず9000円くらいは儲かったよ
トップクラスのプロイラストレーターでこれです。
伝統工芸
伝統工芸でも起きました。こちらはどこで読んだか覚えていません。
問屋を飛ばした結果
- 受注が安定しない
- 安い仕事も受ける
- 高い仕事も単価が下がる
という話だったと記憶しています。
価格維持力が失われる
実際には期待に反し、価格維持力が失われています。 なぜでしょうか?
中間業者が必要な構造
クラウドワークスの価格低下構造
クラウドワークスでの、価格下げ圧は
- 受注側:新規参入者が技術力が低い分安く受ける
- 発注側:新規参入は価格と品質のバランスがわかりません。価格で受注者を比較して安い受注者を選ぶ
が考えられます。 この結果、(平均した)案件価格は下がります。
受注者は増える
受注者が少ない市場では案件価格があがるため、新規参入者が増えます。 労働市場は常に受注者が過多になる圧力があります。
受注者が極端に多い市場になると、案件価格が下がります。
価格下げ圧が強すぎると市場は縮小
価格下げ圧が強すぎると、安さを見込んで新規参入の発注者が増えます。 取引される案件の優良率が下がり、経験のある受注者がいなくなります。
まさに
割に合う案件がない
経験のある受注者がいなくなってしまうと、発注者は安く発注できても納品されないリスクを負います。 リスクの高い発注は本業には使えません。 お遊びや片手間の案件なら使えます。 案件の価格は下がります。
案件の平均価格が下がれば、市場は小さくなります。
中間業者の機能1 参入障壁(受注者のフィルタリング)
受注者が増える圧力を止める必要があります。 そこで、中間業者を挟んで受注者を一定以上のスキルにフィルタリングします。
これは同時に価格の維持にもつながります。 受発注者が直接つながるよりwin-winになります。
中間業者の機能2 案件のバッファリング
データフローが安定化のために queue を必要とする、みたいな話なんだろうと思うけど、グラフのノードでしかない個々のプレイヤーに俯瞰的な視点を持てと言っても難しいしねぇ。 https://t.co/dDQt9oOcHV
— Yuta Okamoto (@okapies) 2016年2月27日
伝統工芸など、市場規模が成長しない場合は、発注の波を受注者が吸収するのは厳しいです。 中間業者による発注のバッファリングが必要です。
クラウドワークスさまへのご提案
クラウドワークスさまが、受発注者を幸せにするために必要なこと
- 受注者を精査して技術が低すぎる人をフィルタ
また、質の良い受注者を集めるため
- 発注内容を精査して価格が低すぎる案件をフィルタ
しかし、この作業は案件が増えると、必要な労働力が増えます。スケールしません。
前々からクラウドソーシングの会社が自身の仕事をクラウドソーシングするようにしたところで、方針決定するような仕事は残るはずで、「ここはクラウドソーシングしてもうまく行きません!」みたいなメッセージを出してくれたら労働の付加価値の再考になるしおもしろと思って期待してる。
— 渋川よしき (@shibu_jp) 2016年2月27日
そうだ、クラウドソーシングで外注しよう!(笑