素晴らしいエントリが立て続けに出ているので便乗します。
1.全体スケジュールにコミットできない
主語を間違えやすいけど
経営者は顧客やVCと全体の計画にコミットしなきゃいけない
の通りで全体スケジュールにコミットできるのはスポンサーだけなんです。開発者は「努力すること」しかコミットできません*1。
現実問題として、プロジェクトを上手くスタートするにはゴールをいつまでに何かって決める必要があります。アジャイル開発でも重視している。アジャイルサムライはインセプションデッキにかなりのページ数を割いています。
2. アーキテクチャ上の無駄が生じる
アーキテクチャ設計を慎重に考えても元のビジネスモデルがウンコだったら役に立ちません。困ったことにビジネスモデルは商売を初めてみないと正しいかどうかわかりません*2。
ただし、ビジネスモデルが成功したときに元のアーキテクチャがウンコで開発者が修正に苦しんだ話はよく聞きます。アーキテクチャの改善に投資すればいいけど、たとえばドリランドのアーキテクチャを改善したという話はあまり聞きません。しかし「4Gbpsを超えるWebサービス構築術」によるとライブドアは分散ストレージを二回作り直したそうなので、アーキテクチャ改善に投資できないわけでもありません。
拙速にするか遅功にするかは、やりたい商売に合わせるべきだと思います*3。
3. コーチって何だよ
アジャイルコーチってなんでしょう?よく知らないけど、多分・・・
アジャイルコーチ「貴様らは開発者ではない。両生類の糞ほどの値打ちしかない!今から3イテレーション、糞供をまともな開発者にする。貴様らは厳しい俺を嫌う!だが憎めばそれだけ学ぶ!ふざけるな!テストを書け!リファクタリングしろ!タマ落としたか!」開発者「ホント、アジャイルは地獄だぜ!」
— ぎゃばんぱみゅぱみゅ (@ledsun) March 22, 2013
な感じなのかなぁ?
4. 変化ヲ抱擁スルために固定化している
大抵の場合は要員を固定化するという前提が付くのです。
ハネムーンナンバーが十分に低ければメンバーチェンジは可能だと思います。
これってSIにありがちな「ある程度優秀な人が特定のプロジェクトから抜けられなくて、3年くらい経つと飽きたか燃え尽きたかで退職してしまう。」って話かなぁ?って想像しました。
それはリスクを考慮しなかった人事ミスですよね。人材派遣タイプのSIは提供可能なサービス(技術者)の量と質はキープし続けないと価値がないわけで
伊勢神宮の式年遷宮が今年も可能なのは、建物ではなく 宮大工の集団に永続性を見いだしたからだ。
を見習って一定期間である程度のコストを払って集団としての質をキープすべきかと思います。 一方で一定ペースで新しい技術者を補給できるなら、退職者は商売上の問題ではないのかもしれない。
開発者個人の立場では要望が聞いてもらえたらうれしいけど・・・今の商売とあまりに違うことを会社に要求するより転職した方がお互い幸せになれると思います。
5.実証主義的な説明に過ぎない
エンジニアリングは実証主義です。嫌ならエンジニアを辞めてください。まあこれは本題じゃないか*4。
優れたチームのプラクティスを実践しても優れたチームになるわけではない。
に同意。これはアジャイル始めたばっかりの人がはまりやすい罠。アジャイルは上手く行っているプラクティスを真似ることじゃなくて、(自分たちの)上手く行っていないプラクティスを変えることです。 アジャイルなチームはイテレーションごとにKPTをして、自分たちの問題を発見します。自分たちの問題を解決しそうなら、余所のチームで上手く行ったプラクティスを拝借します。
アジャイルでは自分たちが何をするかは自分たちで選ばないといけない。誰かが決めてくれたプロセスを守ってればいいわけではありません。ホント アジャイル開発は地獄だぜ?
はじめてアジャイルやるなら、まずKPTから。ファシリテーションできないなら、そういうときにアジャイルコーチを呼べばいい。
世の中の大半は普通のチームなんだから。
普通のチームが成長していく方法こそアジャイルだと思うけど・・・普通が指すものによりますね。
6.手段が目的になっている
「アジャイルがダメな理由」になってないけど・・・
大体さ、かぶれてんじゃないよ。トヨタにしても、リーンにしても、スクラムにしても、 日本由来で海外が評価したからって浮かれているんじゃないと。
そりゃ同意だよ。同意するけど、
でも、初期には手段を目的にして練習してもいいんじゃないかな。野球を練習するとき、プロで 勝つことを目的にはしないでしょ。純粋にキャッチボールやバットで打つのが楽しい。入り口は そこでいい。でも、プロになるには、それだけでは無理という話は矛盾しない。
「よくわかんねーけど、かっこいい」で始めるのもアリだと思います。んで、
それでビジネスにはならないし、すべきでもない。
ですよね。「他人の金でやんなよ」と思います。
7.アジリティはアジャイルだけのものではない
プロセスで出来ることなんて、ほんの少しでしかない。
まさしく!開発プロセス変えて開発者のアジリティが上がるとボトルネックが発注者に移動するんだ・・・そのうち、こういうことを言い出す。
「おまえがビジネスドメイン理解してないのに仕様なんか作れるわけないだろ。何が見積もりだ、わけわかんねぇこと言ってんじゃねー。しょうがねぇ。丸っと適当に見積もってやっから、そん中で三回作るぞ。その間にビジネスドメイン理解しろ!」が受託開発で必要なアジャイル。(お客さんには秘密だよ)
— ぎゃばんぱみゅぱみゅ (@ledsun) March 21, 2013
そこに意味はあるけど悲しいんだな。