@ledsun blog

無味の味は佳境に入らざればすなわち知れず

テメレア戦記

海軍の軍人だった主人公が、たまたま竜に選ばれて空軍にという導入です。 人間と動物(今回は竜)のバディものです。 バディがいちゃいちゃするのを楽しむ奴です。

竜が初飛行する場面で、主人公が風上に向かって飛ぶ方法としてタッキング(上手回し)を教える場面があります。 タッキングを応用して左右にジグザグ飛べば風上に飛べるぞというアイデアです。

そういえばヨット(帆船)はジグザグに進むと、風上に進めると聞いたことがあります。 本当でしょうか?

ヨットの原理と海

風上に進む場合は、右図に示すようにセールを飛行機の翼のような形となるようにします。 翼上部の膨らんだ部分を通る風と下部の膨らんでいない部分を通る風の速さの違い=気圧差で翼の膨らんだ部分 に揚力が生じます。

え?揚力なんすか?

揚力をベクトルにすると船を横に流す力と前進させる推力とに分けられます。横に流す力は船の下部に付いた キールにより止められ抗力となります。よって、推力で風上にも進みます。

なるほど、船体の向きと帆の角度を工夫すれば、船からみて右前に引っ張る力を発生させられそうです。 それからヨットには左右に進むのを止めるキールというパーツがあるので、横には進まず前にだけ進むようです。

左右に進まないのは、船体の形状でだと思ってましたが、キールという専用パーツがあるんですね。

竜骨 (船) - Wikipedia

汽船では帆船にみられるこのような突起部は無用な抵抗を生じる。一方で鋼船構造の船舶が現れ船底外板がすべて平板になってもキールと呼ばれており、本来のキールの意味からは外れるが平板竜骨(Flat keel)と呼ばれることがある。

現代の一般的な船の船底に突起はないらしいです。 僕が、なんとなく船の底が平らなイメージを持っているのは、現代の船に対するイメージのようです。

とうわけで、帆船がタッキングできるのは水の抵抗があるからです。 空を飛ぶドラゴンはタッキングできないんです。 鳥が風上に飛べないかというとそんなことはないです。 帆船と同じで、風上に翼を向けると揚力が得られるので、上昇できます。 あとは下降すれば重力を使って速度が得られます。 上昇下降を繰り返せば風上に進めます。

というかおそらく逆で、鳥が風上に進む動きを帆船の帆を翼にみたてて真似たのがタッキングなのだろうと思います。 まあ、つまり、帆船乗りがドラゴンにタッキングを教えるのは、釈迦に説法な訳です。 と、細かいところに気がつきました。

2010年に読んだときは気がつかなかったなあ。 同じ本を読んでも、読むときの自分によって得られる情報は変わるようです。