2021年で、僕の仕事のやりかたで一番変わったのが分報をつけるようになったことです。 3月15日に、社内のコミュニケーションツールがchatworkからslackに変わりました。 それをきっかけに分報をはじめました。 約9ヶ月やっています。
これはたぶん「実験ノート」*1だと思います。 僕は大学院は行っていないので「実験ノート」の実物は知りません。 おそらく似たものなのだろうと思いました。
やっていること
次のような項目を書いています。
- なにかやるときにやることを書く
- 変な動きを目撃したらスクリーンショットを貼る
- 思いついた疑問点を書く
- ググったときはリンクを貼る
- 参考になった点は引用する
こんな感じです。
計測したわけではありませんが、社内では1番高頻度に書いていると思います。 自分用なので進捗はほとんど書いてないです。
役に立つ点
変な動きの記録
作業中に奇妙な動作を見つけた時に、スクリーンショットを貼ります。 操作も書きます。余裕があれば再現手順を書いておきます。
「前に同じ現象を見た記憶があるけど、同じなのか似ている違う現象なのかわからない」が解消出来ます。 これ解消できないと「目の前の現象を治しても、実は対応漏れがあるのでは?」という不安が残ります。
疑問点を書いてピン留めする
作業中に作業と関係ない疑問を思いついた時は、分報に書きます。 ピン留めします。
これで忘れなくなるので、心置きなく作業に戻れます。 作業に関係がありそうなときは、そのまま調べます。 調べた内容は前述のように記録します。
ググったリンク
分報なしで検索すると、結果にでてきたリンクを順番に見ていって、 一番よかったと思うリンクをブックマークすると思います。 ところがよくよく調べると、最初によくないと思ったリンクが正解だったりします。 それで「こんな単純なことになんで最初に気がつかなかったんだー!最初に答えあったじゃないか!!」と思ったりします。
分報ありの場合は見たリンクは記録しています。 それに「これはちがうな」と思った理由も書いておきます。 つまり、迷ったり誤解したりした軌跡を残しておきます。 同じ事をやっているのに「こんな単純なことになんで最初に気がつかなかったんだー!」と、思う代わりに「この検索だけでずいぶん賢くなったな」と思えるようになります。
つまり、検索を通して「問題と解決方法のペア」だけを学習するのではなく、「問題の見方」(の変化)を学習しています。
ブログのネタになる
最近のブログの記事で、技術ネタはすべて分報から来ています。 分報に調べた軌跡が残っているので、整形すればブログの記事のできあがりです。
面白いのはブログの記事にすると、そこでまた見落としや勘違いが発見できます。 分報はあくまで記録なので、自分の言葉で言い換えていません。 ブログの記事として改めて説明しようとすると、論理の抜け落ちに気がつくことがあります。
作業のリジューム
僕は複数の案件に関わることがあります。 案件Aの作業を3日空けて再開するときに、4日前の分法にもどって読み直します。 15分くらい掛けて読み直すと、前回どんなことを考えていたのか再生できます。
一日のなかの、作業、打ち合わせ、作業の切り替えにも役立ちます。 役立ちますが、こっちも15分くらいコンテキストスイッチに時間がかかります。 あまり大きな効果はありません。
上手く行っていないとき
一日、色々ためしてうまく行かなかったとき、翌日になるとすごく雑に「昨日は進捗がでなかった」と認識します。 で、何をするかというと、また1からやり直します。
本当は1からではなく前日学習した内容を生かして、考え直しているのですが、そのことが認識出来ません。 前日の分報を読み直すと、1日の最初と最後で、問題の認識が変わっていることに気がつきます。 そして改まった認識を元に問題を考え直すと、あらたな視点の調査項目が見つかります。
上手く行っていない点
とはいえ全部を記録するのは難しいです。 とくに未知の分野のことを調べているときに、抜け落ちがちです。 また、締め切りまでのタイムアタック中も抜け落ちがちです。
こういうときにこそ分報が効いてくるように予測していますが、体現できていません。 分報道はまだまだ先があるようです。
まとめ
要するに作業に対するメタ認知を高める取り組みのようです。
↑で、挙げた日誌をもっと細かくしたものです。 僕にとっては、書く内容を選別する手間が少ない分、日誌を書くよりは、分報の方が向いていたようです。
単位を細かくするといえば、2021年の目標設定 - @ledsun blogで書いた 2020年にやった「コミット粒度を小さくする」というハックと似ています。 「粒度を小さくする」ハックを、プロダクトコードのプログラミング以外の分野に広げた物なのかもしれません。