@ledsun blog

無味の味は佳境に入らざればすなわち知れず

印象に残ったセッション #rubykaigi

Ferrari Driven Development: superfast Ruby with Rubex

RubyのC拡張を作るためのプログラミング言語の話でした。 グルー言語好きにはたまらないジャンルです。

機械学習方面の計算を早くするために並列計算をしたいのですが、CRuby上ではGILがあるのでCPUヘビーな計算を並列化できません。C拡張を書けばGILを避けて並列化できます。C拡張を書くにはC言語の知識が必要で、それがハードルになっています。Rubyライクな言語を作ることでC拡張を書くコストが下がります。

何がすごいって、こんなにミニマルで実践的なプログラミング言語を作る余地があることに気づいたことです。Rubyライクな言語からC言語に変換するだけなので実装量はそれほど大きくありません。コンパイル言語やインタプリタ言語の実装と違い、pure Rubyで書くことが出来ます。言語デザインを除けば似た実装を書くのはそこまでは難しくないと思います。それでいて、現実の問題をクリアするための言語として機能しているところ、すごいです。

もう一つは、作っている人は東工大の院生だし、ソースコードをみれば普通にちゃんとした言語処理系だしで、恐るべきです。

Parallel and Thread-Safe Ruby at High-Speed with TruffleRuby (Keynote)

CRubyの5倍速いデモのインパクトがすごすぎです。

チューニングの詳しい仕組みは、「isreading Chat Episode 07 – One VM to Rule Them All」を聞くとわかりやすいです。 misreading.chat 聞いてから振り返ると、発表前半のチューニングの仕組み部分は、GraalVMの仕組みのようです。

JITコンパイラJVMバイトコードだけであれば、インライン展開(関数呼び出しを展開するチューニング手法)できます。展開したい関数がRubyの埋め込み関数やライブラリ呼び出しの場合は、インライン展開できません。そこで、GraalVMのPartial Evaluationという機能を使い、実行しながらプロファイルを取得して、関数の呼び出し結果が定数になる場合は、定数に置き換えます。これでインライン展開を適用できる箇所を増やして、鬼のようなスピードアップを図っているようでうす。

それにしても、GraalVM用のRubyインタプリタ実装書くのめちゃくちゃ大変なのでは・・・?という気持ちです。

参考