2005年頃に、「ザ・ゴール」は読んだ記憶があります。 そのときはクリティカルチェーンまではたどり着きませんでした。 最近、仕事の関係でクリティカルチェーンを勉強する必要があって、6月頃から読み始めまてようやく読み終わりました。
やはり小説仕立ては難しいですね。 細かいエピソードは記憶に残るのですが、全体像をつかむのが難しいです。 キャラが立ってないから誰が誰だかわかんないし、正直主人公の名前がリックなのかどうかも怪しいです。 全体のストーリーとしても、背景の大変さはわかっても、手法は「導入してみたらできました」とか「やってみたら上手く行きました」みたいな濃度で、山場全然無いし、無いと思ったら次の問題でてくるし、小説と思って読むとイライラします。
キーワードを列挙してみます。
- クリティカルパス
- プロジェクトバッファー
- 合流バッファー
- 下請けにリードタイム約束させる
- クリティカルチェーン
あまり出てこないです。 複数プロジェクトで共有するリソースを考慮した、クリティカルなつながりをクリティカルチェーンと呼ぶところは印象的でした。
原書が出たのが1997年だそうで、プロジェクトマネージメントが流行っていた頃だと思います。 それから数年後の2000年代前半に、日本で最初のアジャイルブームが来ました。 僕が知った順序では、アジャイルが先でザ・ゴールが後でした。
読み終わってみて、リーンスタートアップとかを通り過ぎた現代的なアジャイルと比べると、次の印象を受けました。
- アジャイルはプロジェクトであることをやめた
- クリティカルチェーンはプロジェクトは効率よくした
プロジェクトは一発勝負なので、難しいのですが、アジャイルはそれを細切れにすることで、繰り返し練習できるようにしてしまいました。ソフトウェアの世界では、本当にそれが上手く行って、いまどきCI/CDをすることも、週次でリリースすることも、特別な事ではなくなりました。
もちろんアジャイルにも問題があります。アジャイルでは「開発は終わらない、作ったソフトウェアは使い続け、改良し続ける」前提です。これは、いくら投資するといつまでにリターンがどれくらい返ってくるのが、予想しにくいです。プロジェクトであれば、ある機能を実現したときに増える売上なり、削減できるコストと、見積もりを比較すれば、予想できます。費用対効果というやつです。費用対効果がわかりにくいということは、複数の開発案件があるときにどちらに投資すれば良いのか判断を難しくします。また、世の中にはオリンピックのように期限が決まった仕事もあります。ここにアジャイルを適用するのも難しいように思います。
原書から20年以上経った、いまでもクリティカルチェーンは価値がありそうです。クリティカルチェーンを適用できていない現場もたくさんあります。というか、「各工程の見積もりにバッファを入れないで、プロジェクトバッファだけを管理する」なんて、到底できる気がしません。プロジェクトである程度リーダーの立場したら、見積もりにバッファを入れないなんてできないじゃないですか。正直、この段階でリアリティがないんですよ。だから、その後の細かい管理テクニックが頭に入ってこないんです。小説仕立てのせいにして、ごめんなさい。
まあ、とりあえず入門はしたので、次は、
- 全体像をつかむ
- 現実の事例を知る
あたりを攻めていきたいと思います。