@ledsun blog

無味の味は佳境に入らざればすなわち知れず

グランド・ホテル

1932年、昭和7年アメリカ映画です。 1929年のアメリカ発の世界恐慌の波が、1930年には日本の届き昭和恐慌として不景気がやって来ます。 日本は、景気回復をめざし市場を獲得するため、1932年に満州事変をおこします。その翌年に公開されたハリウッド映画です。 日本では1933年に公開されました。 この年、日本は国際連盟を脱退しますが、映画が公開される程度には、経済や文化の交流があったようです。

群像劇の元祖という事で見てみました。 導入の登場人物が入れ替わりつつ紹介されていく流れがすごくスムーズです。 全体的に演技が臭くて演劇っぽい感じがあります。 男爵がバレリーナの口説く台詞の嘘くさいこと嘘くさいこと・・・すごいです。 原作が戯曲だからのようです。

舞台がドイツの高級ホテルでお金持ちの人たちが出てきます。 ですが、1932年はナチ党が選挙で第1党になった年です。 こんな雰囲気なのかな?と思うと、戯曲になる前の小説は1929年作でした。 舞台は1920年代のドイツで、第一次大戦の敗戦国でしたが、文化・芸術面で大いに賑わった時代のようです。

話全体としては、登場人物が絡み合ってややこしいのですが、人間賛歌といった感じのいい話です。 ゾンビ映画の脚本によくあるナードがジョックやクイーン・ビーに復讐するのと良く似た図式も見て取れます。 人間は100年経っても変わらなくて、いいですね。

参考