@ledsun blog

無味の味は佳境に入らざればすなわち知れず

回避型愛着スタイル

はじめに

私は

  • 共感能力に低い
  • 他人に共感されることを避ける
  • 「共感されたい」という欲求を過小評価する

性質があります。 世の中では、これを「回避型愛着スタイル」と言うようです。 エンジニアにはこのタイプが多いように思います。

今わかっている範囲の情報を書きます。

愛着障害

精神医学の分野には「愛着障害」という障害があります。 他人との「愛着」を安定して築けないため社会生活に困難がでる障害です。

○○型愛着スタイル

自閉症」や「発達障害」と同じく軽い人もいれば重い人もいます。 軽い人は一見社会生活に全く支障がない人もいます。 そういう人に「○○障害」とつけるのは引っかかるので、ここでは「○○型愛着スタイル」と表現します。

原因

発生する原因は、両親(育成者)との間に「愛着」を上手く築けないから起きるようです。 わかりやすい例は幼い時の親との死別や、一定期間預けられていた場合などです。 他にも親の愛着スタイルが安定していない場合も起きるようです。

不安定型、回避型

大別して不安定型と回避型の二種類があります。

不安定型は十分な愛着が得られなかったために、愛着を過剰に求めたり、愛着を失うことを過剰に恐れます。 回避型は十分な愛着が得られなかったために、愛着を求めることをやめてしまいます。

不安型はラオウ、回避型はサウザーと思えばわかりやすいと思います。

共感

共感されたい

回避型愛着スタイルの人は「共感されたい」という欲求を過小評価します。 これは、以前から自覚がありました。

ずいぶん昔の話ですが、当時お付き合いしていた女性から「相手をしてほしい」アプローチをされたときに逃げ回っていました。 逃げると、相手からの「相手をしてほしい」アプローチが強化され、辟易して破綻しました。

当時の実感としては「めんどうくさい」でした。 今思うと、「相手をしてほしい」感情に共感できていなかったのだと思います。 さらに共感したように振舞うこともできず、どう反応してよいのかわからず戸惑っていたように思います。

共感できない

「相手をしてほしい」感情に共感できないのは、「自分の考えや感情が共感されるわけがない」と思っているからです。 「回避型愛着スタイル」の人が考える、共感される予想確率は限りなく低いです。 例えれば「空から女の子が降ってくる」確率と同レベルです。 このため、「共感されない」不満は「自分のところには空から女の子が降ってこない」不満と同レベルに思えます。 最初から失敗しかないチャレンジに失敗して、何が不満なのかが理解できません。

社会生活

共感能力の低さは、社会生活に影響が出ます。学生時代はあまり上手くいかなかったように思います。 共感できないため、ウェイウェイ出来ません。 ウェイウェイ出来きない人間がスクールカーストの上位に入ることはないので、中学高校は暗黒時代です。 ウェイウェイしなくてもよい仲間が見つかると楽しく生活できます。

社会人になると、社会生活への影響は少ないです。 会議であれば、論理的な説明さえできれば成り立ちます。 飲みニケーションなどで共感を求められることもありますが、拒絶さえしなければ、共感しないからといって迫害されることはありません。

共感能力が低くて、嫌われることもありませんが、特別好かれることもありません。 いわゆる人望に欠けます。ポジションによっては不利になるかもしれません。

個人的な対応

私は外見上は、実際どう見られているのかはわかりませんが、人の感情が読み取れないようには見えないと思います。 せいぜい愛想がないぐらいではないでしょうか?

共感能力がある人がどうやって人の感情を感じているかはわかりません。 私の場合は、心理学のように感情の原因を推測して理解しています。 たくさん本を読んだせいか、脳内にある人間の感情の原因リストは長いです。 そのうちで、現在の状況に一番近いものをパターンマッチして推測しています。

これは有利な面と不利な面があります。 誰かが怒っている時に、「口で言っている怒りの原因と真の原因が違いそうだ」と推測ができることがあります。 問題解決には有効です。 一方で、怒っている人は「とにかく怒っている感情を受け止めてほしい」と思っているようですが、 これに対しては「受け止める is 何?」となります。

おかげさまで対面でのコミュニケーションより、文章でのコミュニケーションの方が得意になりました。

治療?

治療が必要な性質のなのかはわかりませんが、共感能力を育てることはできるようです。

共感能力が低いといってもゼロではありません。 まれに共感出来ることがあるようです。 また「共感された」経験が少ないため、「共感されたい」という欲求を過小評価します。これは他人に共感することを放棄する原因になっています。

自分が他人に「共感する」「共感される」体験を繰り返すことで、共感能力を育てることはできるようです。 *1

典型的な例

1年前に ledsun.hatenablog.com で「生きる技法」を読んだと書きました。

いまの知識で思えば、著者の安冨さんは「強迫性パーソナリティ」でかつ「回避型愛着スタイル」でした。 「回避型愛着スタイル」の人間が感情を論理的に解釈しないと理解できない好例だと思います。

参考文献

愛着障害の克服 「愛着アプローチ」で、人は変われる

愛着障害の克服 「愛着アプローチ」で、人は変われる

愛着障害一般の話です。愛着障害の不安型と回避型を両方取り扱った本です。 過去の文豪や心理学の大家の愛着障害の例がふんだんに載っています。

回避性愛着障害 絆が稀薄な人たち

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上の本と同一著者です。回避性愛着障害に焦点を当てています。 回避性愛着障害をいくつかのタイプにわけて説明しています。 心理学の人には回避性愛着障害の人が多いようです。 共感能力の低い回避性愛着障害の人は、心理を論理で整理せずには居られないのかもしれません。

異性の心を上手に透視する方法

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恋愛をテーマに、回避型愛着スタイルの男性と不安型愛着スタイルの女性がくっつきやすく、かつ上手く行きにくい理由が書いてあります。過去の経験がもろに該当していました。自分以外でも、該当する組み合わせは見かけるので、自分が当てはまるかもしれない人は読んでおくと心の準備ができて良いかもしれません。

タイトルは半分ぐらい詐欺です。特定の組み合わせのカップルが、お互いと心が全く噛み合わない理由を説明しています。

*1:世の中にはもっと良い方法があるでしょう。確実なことは専門家に聞きましょう。